ご挨拶
天然理心流心武館 第四代館長
大塚 篤
平成16年、多くの方々の要請によって、心武館の門戸を広く一般の方にも開き、天然理心流の指導をはじめて早14年目となります。
それまでは、東京消防庁体育文化会居合道部会等で、限られた方々にのみ指導していたものでありますが、一般の方にも稽古をしていただけるようになって以来、多くの門人が集い、真摯に稽古を重ねて参りました。当初は、私の職務の都合により東京消防庁居合道部会内での稽古、牛久道場にて月に2回程度の稽古しか出来ませんでしたが、東京消防庁退職を機に、多くの方々のご支援を頂きながら東京、多摩、京都道場を開設することができ、また、平成26年9月からは九州福岡にて道場を開設させていただくことになりました。
天然理心流は、明治初頭においては各地に道場があり千名単位の門人がおりましたが、約150年という時代の変遷と共にほとんどの道脈が途絶え、現在では心武館のみが全伝を受け継いでおります。私は、唯一の継承者であることの責任を強く自覚し、今後は天然理心流を正しく後世に伝えるべく、さらなる努力をする決意であります。
心の荒廃が著しい日本の状況を思えば、現代における天然理心流は単に剣術の技術を継承することだけではなく、天然理心の心を通じ多くの人の精神的な向上にも貢献できるものでありたいと考えております。
お教えする天然理心流は、心武館代々にわたり、あきる野市二宮において129年間守り続けた技であり、指導する以上は正確に指導したいと考えております。
指導は、切紙の技、序目録の技、中極位目録の技、免許の技と、古式にのっとり、順を追って指導してまいります。
今後、天然理心流を発展させ、当流を学びたいという皆様と、正しく楽しく稽古できれば幸いであります。
追記
天然理心流を田舎剣法であるとか、素朴あるいは朴訥な剣法であるが如く言う人も居ますが、それは天然理心流の技と真髄を理解していない人が言っていることであり、剣法においては田舎も都会もなく、素朴も朴訥もないのであり、流祖が勝つために心血をそそいで創意工夫を重ねたものであり、あるのは武術としての不敗の神髄であります。
そして、免許の技に到達した時に天然理心流の真髄も意味が悟れるものになっています。この悟りを得た者が「天然理心の人」となるのであります。
是非皆さんも「天然理心の人」になるまで修業に励んでください。